「影響力の武器」を考察してみた~好意~

心理学
Q:私達の行動に影響を与えている大きな力はいったい何なんでしょうか?

私達は日々、何かしらに影響を受けて生活をしています。

日常で目にする広告やTV、人の会話など影響を与えるものは多数存在します。

今回は世界的名著である「影響力の武器」を参考に、その正体を一緒に考えていきましょう。

本書はあのメンタリストDaiGoさんが心理学を学ぶきっかけになったという一冊です。

心理学を学びたい人、影響力の武器から自分の身を守っていきたい人などはぜひ本書を購入して読んでみてください。

今回は本書の第5章「好意―優しそうな顔をした泥棒―」を参考に、私の心の琴線に触れた箇所を中心に考察していきたいと思います。

具体的に以下のような疑問・問題を抱える人にはぜひ読んでみていただきたいです。

Q:買うつもりのなかった商品を、セールスマンの印象が良かったから買ってしまい後から後悔しています。なぜこんなことが起きたのでしょうか?
Q:応援してくれていた人達が、チームが負けた瞬間なんだか敵に見えてしまいました。なぜでしょうか?

友達になるのは、影響を及ぼすため

一般的に言って、私たちが最も頼み事を聞いてあげたいと思うのは、相手をよく知っていて、しかもその人に好意をもっている場合です。

P.269

歩いていて突然見知らぬ人から「1,000円貸してくれ!」とお願いされるのと、相手のことをよく知っていて好意を持っている人からの「1,000円貸してくれ!」では後者の方が貸してあげたくなりますよね。

セールスマンには、新しい客を見つけるために「無限連鎖」という方法を使うように指導しています。

P.272

この方法が成功する鍵は、新たな顧客になりそうな人を訪問したとき、「○○さんから、あなたを訪問するよう言われて来た」と、友人の名前を告げる点にあります。

P.272

いわゆるマルチ商法というやつでしょうか。友達を商品にしてその紹介料・仲介料で儲ける人もいます。そして、友人からの紹介というのはやっかいで、いきなり来るセールスマンよりも心を開き、良き客としてドアを開けてしまうのです。

あなたを好きになるのはなぜ?その理由を考えてみよう

ハロー効果というのは、ある人が望ましい特徴を一つもっていることによって、その人に対する他者の見方が大きく影響を受けることを言います。

P.276

ハロー効果。一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?例えば学校でめちゃくちゃ喧嘩が強い人がいます。他の人はこのハロー効果によって、彼の他のパーソナルな部分に対しても恐れを抱いたり、強いと認識してしまう可能性はあります。たった一つの特徴によってその人の他の特徴を肯定したり、否定したりしてしまうのが人間の特徴らしいです。

模擬面接場面を用いて行われた研究では、仕事に必要な資格よりも応募者の身だしなみのよさの方が、決定に大きな影響を及ぼしていましたが、面接官自身は、外見はほとんど決定に影響しなかったと考えていました。

P.277

そのほかの研究でも、外見的に魅力的な人びとは必要なときに援助されやすいことや、聴衆の意見を変化させようとする際に説得力があることが明らかにされています。

P.278

教師は、外見のよい子どもの方がそうでない子どもより知的であると考えています。

P.278

人は見た目が9割!なんてタイトルの本が売られているのを以前本屋で見かけました。身体的魅力とハロー効果によって、イケメンや美女は実際の能力以上に評価されることがあるのでしょう。つまりその逆もしかりで、ブスやデブは実際の能力より過小評価されることがあるのでしょう。人間にそういった傾向があることはきちんと認識した上で、その人の能力・真価を見極められるように自分自身も進化していきたいと思いました。

私たちは自分に似ている人を好みます。この事実は、意見や性格特性、経歴、ライフスタイルなど、どのような領域の類似性においても当てはまるようです。

P.280

頼み事をする側が類似性を操作して、好意と承諾を得るもう一つの方法は、似通った経歴や趣味を強調することです。

P.281

身体的魅力と共に好意・承諾に影響を与えるのは類似性でした。同じ意見、同じように皮肉な性格、同じ学歴、同じ社会人としてのライフサイクル、同じ趣味など全てにおいて類似性を与えるのに十分であります。

他の章でも類似性は承諾の際に重要な事柄であると記載があったので類似性は協力な力がありそうですね。ルイージと見た目が類似しているマリオだから兄弟愛があれだけ強いのかもしれません。

誰かが自分のことを好きだという情報には、お返しとしての好意と自発的な承諾を生み出す、魔法のような効果があるということです。

P.282

ジョーは人間性についてのある重要な事実を理解していました。それは、私たちが、おめでたいほど、お世辞に弱いということです。

P.283

よっぽどわざとらしさがなければ相手からの好意やお世辞に対して嫌な気持ちになる人は少ないのではないでしょうか?好意に対する返報性の原則も相まっているのでしょう。だから、相手をたてる人や好き好き詐欺をしてくる人が出てくるのでしょう。少なくとも相手に好かれたいと思ったらまずは自分から好意を伝えることが大切みたいです。そうすれば恋の勝率は上がるはず!?

ほとんど意識していませんが、ある対象に対して私たちが取る態度は、過去にその対象と接した回数から影響を受け手います。

P.286

逆に、失望や対立、競争などが生じる不快な状況の下で、繰り返しある人や物に接触すると、好意は減少してしまいます。

P.288

単純接触効果、という心理学的現象は聞いたことありますでしょうか?何度も人や物を目にしているとそのものに対して好意o対立の気持ちを抱くようになるというものです。私も好意としての単純接触効果は知っていましたが、これが対立や競争を生み出す可能性があることは知りませんでした。用心していきたいですね。

ある種の敵意を作り出すのに、さほどの手間はかかりませんでした。少年たちを二つの住居キャビンに分けるだけで、両グループのあいだには「われわれ 対 彼ら」という感情が生まれ、少年たちに、それぞれのグループの名前をつけさせると、ライバル意識が一層高まりました。

P.291

グループを分けるということだけで集団間対立を生み出すことができるのです。人間って単純ですよね。ついさっきまで仲良くしていた人も、このグルーピングによって敵同士に簡単になってしまうのです。

共通の目標に向かって力を合わせ、首尾よくそれに成功したことが、二つのグループのあいだにあった溝に橋を架けることになったのです。

P.293

先ほど対立を生み出すにはグループ分けが良いという例を提示しましたが、今度は仲良しにさせる方法論がここには記載されています。これもまた単純で、同じ目標を持たせることだったのです。1+1=1の原理とでもいえば良いのでしょうか。同じ目標を持つことで2つのグループは1つになることができるのです。

条件づけと連合

つまり「悪い知らせを伝える者は疎まれる」のです。

P.303

たとえ、その人が悪い知らせの原因ではないとしてもです。その知らせと結びついているというだけで、私たちの嫌悪感を刺激するのです。

P.304

悪い出来事やよい出来事と、ただ関連があるだけで、私たちは人びとによくも悪くも思われてしまうのです。

P.304

この節では結びつきの原理を解説してくれています。上記では知らせ(ニュース)が受け取りてにとって良いものか、悪いものかによって報告者までも善悪のレッテルを貼られてしまうことを示してくれています。周囲を見渡して悪いニュースを届けてくれる良い例はNHKでしょう。NHKは公共放送機関であるために、世の中の事実を淡々と知らせてくれています。なので中には殺人・事故・不正問題など普通なら目をそむけたくなるニュースまで扱っています。そのため悪い知らせを届けるNHKは何かと嫌われ者のレッテルを貼られてしまうのでしょう。一方、良いニュースを届けてくれる良い例は神社のおみくじではないでしょうか?凶~大吉まで善し悪しはあれど、基本的には良い知らせの方が多く仕込まれています。(おそらく)そのため、私たちは神社を良い知らせ象徴として何かと頼りにしてしまうのでしょう。

人は実際に、私たちが友人と同じ特性をもっているとみなすのです。

P.305

結びつけは人間関係にもあてはまります。「いじめっ子のAとよく一緒にいるBはきっと同じように嫌なやつに違いない」みたいな感じで、よく知らない対象に対しては特に結びつけを行い性格や特性を見出すようになるのでしょう。これぞまさに知ったかぶりではないでしょうか?相手のことをよく調べようともせず、結びつけにより人を判断する。良くない傾向ですね。

私たちは即座に製品やサービスを手に入れる一方で、支払いを何週間も先に延ばせるようになりました。その結果、私たちは、クレジットカードそのものやカードを表すマーク、シンボル、ロゴなどを消費のマイナス面よりもプラス面と連合させがちなのです。

P.305

連合の原理は非常に強く(しかもまったく無意識のうちに)働くので、企業はいつも必死になって、自社製品と最新の文化的流行を結びつけようとします。

P.307

大事なのは、とにかく結びつきを作りあげることであって、論理的である必要はありません。ただ好ましい結びつきでありさえすればいいのです。

P.308

上記では製品との結びつけが企業にとっていかに大切であるのかを示してくれています。結びつけというよりイメージに近いかとは思いますが、社会的に好意を持たれていると証明された有名人やマークはかなり重宝されるみたいです。逆に、スキャンダルなどの悪いイメージを持たせてしまった人・有名人とはこの結びつけからは切り離しておかなくては会社のブランドイメージの命取りになるので、コストをかけたCMですらストップさせてしまうことがあるのでしょう。有名人にとって社会的イメージは商品そのものなので、もし有名人になろうと思われている方は注意が必要です。

ただ生まれた場所と結びついているというだけで、彼は近づく勝利あるいは敗北に引き寄せられ、包みこまれ、つなぎ止められたのです。

P.315

大阪出身=阪神タイガース、東京出身=読売巨人軍として対立構造をあおる野球好きは結構いますよね。これも結びつけの原理で、その勝敗によって一喜一憂してしまっているのです。

試合は、その固有の形式や芸術性を楽しむだけの軽い娯楽ではありません。そこには自己が賭けられているのです。

P.315

連合の原理の教えるところでは、たとえ表面的にでも(たとえば、住居の場所など)自分と結びついた成功で、わが身を包むことができれば、私たちの公的な威信は高まります。

P.316

地元チームが敗北すると、私たちは距離をとろうとします。このような場合には「俺たちは」という代名詞よりも、突き放したような「彼らは」という表現が好まれます。

P.316

自分と結びついたチームが負けることは、すなわち自分自身の負けを意味するようになってしまうのです。そのため、負けそうor負けたチームとは距離をとり、勝ちそうor勝ったチームに対しては自分事のように話すのです。そうすることはもはや防衛本能とでも言うべき人間の特徴ですね。

防衛法

こちらに車を買う決心をして欲しいのです。しかしそのような決定をする前には、「この男を知ってからの二十五分間で、予期していた以上にこの男を好きになってはいないだろうか」という、重要な問いかけを自分にしてみるべきです。

P.322

特に高価なものを購入する際は、自分の心の移り変わりに注意しておく必要がありそうです。

設問

内容の理解1

ハロー効果とはある人が望ましい特徴を一つもっていることによって、その人に対する他者の見方が大きく影響を受けることを言います。個人の身体的魅力が優れているだけで、その人の魅力全般が優れて見えるようになる。

内容の理解2

車のセールスマンが似通った経歴や趣味を強調することで契約を勝ち取る。

内容の理解3

相互の協力によって成功がもたらされる場合に対立は弱まる。また、役に立たなかったのは二つのグループが一緒に過ごす時間を増やす、接触アプローチを試みた場合。

内容の理解4

栄光欲とは勝利を自分と結びつけ、自分がほかの人より優れているということを証明したい欲求のこと。この傾向は否定的な自己イメージがある人々によくあわられる。

クリティカル・シンキング1

お世辞は一般的に好意を高め、承諾を引き出しやすくなっていることに関連した悩み。

クリティカル・シンキング2

返報性の法則を用いると、好意をもってくれている人に対してはこちら側も好意をもちやすくなっている。そのため対人関係は相互良好な関係を保てる。

クリティカル・シンキング3

どちらも共通の利益のために協力を必要とすることで敵意を減少させていく点で類似している。

クリティカル・シンキング4

まず身体的魅力を高めるために筋トレを行い、理想的な体を手に入れる。その後、類似性を用いて共通の趣味を見つけ話してみる。そして軽いお世辞も混じえてみる。そのような会話を頻繁に行う。最後には彼女が好きそうなブランドを持つことで、連合の効果を発揮し好意を高める。

クリティカル・シンキング5

好意を持つ相手にはイエスと言わせやすい、という結果がでているため弁護士は陪審員から好意を持たれるように努力する必要がある。

以上が第5章「好意―優しそうな顔をした泥棒―」の考察になります。

純粋な好意はその存在こそ価値があると思うのですが、心理学的なトリックを挟んだ好意やそれを利用したビジネスは何だか嫌悪感を感じてしまいます。とはいっても、その恩恵を受けて私たち社会は発展してきているのですから、まずはこの原則を認めてみようと思います。その上で好意の原則のトラップはしっかりと見抜き、物事の真価を見定めたり本物の愛を手に入れることができようになっていきたいです。

そしてもっと詳しく知りたいと思った方はぜひ本書を購入して読んでみてください!

このブログでは紹介できていない事例が沢山乗っていて、深く理解することができます。

次回は第6章「権威―導かれる服従―」を考察していきます。

それではSee you next time!!

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