「影響力の武器」を考察してみた~権威~

心理学
Q:私達の行動に影響を与えている大きな力はいったい何なんでしょうか?

私達は日々、何かしらに影響を受けて生活をしています。

日常で目にする広告やTV、人の会話など影響を与えるものは多数存在します。

今回は世界的名著である「影響力の武器」を参考に、その正体を一緒に考えていきましょう。

本書はあのメンタリストDaiGoさんが心理学を学ぶきっかけになったという一冊です。

心理学を学びたい人、影響力の武器から自分の身を守っていきたい人などはぜひ本書を購入して読んでみてください。

今回は本書の第6章「権威―導かれる服従―」を参考に、私の心の琴線に触れた箇所を中心に考察していきたいと思います。

具体的に以下のような疑問・問題を抱える人にはぜひ読んでみていただきたいです。

Q:会社で自分よりも肩書が上の人に対して自分の意見を主張することができません。どうしてでしょうか?
Q:医者の言うことと、ネットにある意見どちらを参考にするべきなんでしょうか?
Q:機長症候群はなぜ生じてしまうのでしょうか?

権威のもつ影響力の強さ

それは私たちの心に深く根ざした、権威に対する義務感と関係があります。

P.337

本書では権威者に従って電気ショックを与え続けてしまう実験をすることによって、権威の影響力の強さを証明しています。私たちの身の周りに多く存在する権威ですが、これも盲目的に従ってしまうのは一体なぜなのか?また自分の身や大事な人を守るためにはどうすれば良いのでしょうか?一緒に考察していきましょう。

研究者たちが言い争いをやめないでいると、参加者は一生懸命になってどちらがより有力なボスであるかを判断しようとしました。

P.339

合コンあるあるなのですが、女子たちは最初誰がその中でボスなのかを探っているように感じます。主に幹事がその役目をはたしていますが、真の権威者の機嫌を損ねてしまっては自分の身が危うくなってしまうことを本能的に知っているのかもしれません。

いずれか一人をその場の権威者と見定めてその人物に従うというやり方もうまくいかないのがわかると、どの参加者も最終的には自分の本能に従って、電気ショックを与えるのをやめました。

P.339

権威の崩壊とでも言うのでしょうか。権威があてにならないことを悟った人は自分の本能に従って、自分が正しいと思うことをするようになるのです。これから不確実な時代になり、それこそ権威があてにならない時代だからこそ、誰が権威を持っているのかを確実に見極め、さらに自分の本能・感性に従う勇気を持って生きていけるようになっていきたいですね。

盲目的な服従のもつ魅力と危険性

権威のシステムは、社会に多大な進歩をもたらしてきました。それらが存在したからこそ、資源の生産、貿易、国土防衛、領土拡大、社会的コントロールのための洗礼された仕組みを発展させることができたのです。

P.342

私は中学生の時、部活の副キャプテンを任されていました。中学生の人気部活だと、1学年30人以上いましたからそれらの組織を統制するのは大変でした。なので、この権威システムの利便性も実感していますし、権威があるからこそ集団行動の中での規律は保つことができるのだということはかなり納得します。そしてこれらは単なる組織だけでなく国などの治安を維持するにあたっても利用されるシステムなのだということをこの章では解説しています。

私たちはこの世に生まれて以来、適切な権威に従うのは正しく、従わないのは間違いだと教育されています。

P.342

ある行為が正しいかどうかは、外見上の非常識さや有害性、不公平性、あるいは常識的な道徳的規準ではなく、より高い権威の命令によってのみ決まるということを、私たちは学ぶのです。

P.343

権威者の命令に従うべきか否かについて、私たちがそこまで悩むことは滅多にありません。それどころか、たいていの場合は、ほとんど何も考えずカチッ・サー方式で服従してしまいます。

P.343

国を維持するには優秀な人材を育てる必要がありますが、育てた人材が権威(国)に従わなくてはせっかくコストをかけて育てても意味がなくなります。なので権威に従うことを正義とし、そこからはみ出る人は悪だという教育が今もこれからもされていくのでしょう。だからこそ、権威のテープが回ると私たちは服従を強いられるのです。

私たちの生活の1場面から、権威者の圧力が明白で強力な例をあげてみましょうー医療です。健康は私たちにとって非常に重要なものです。そのため、この領域において膨大な知識と影響力をもつ医師は、尊敬されるべき権威を持つ地位についています。

P.344

医療。まさに権威の象徴とでもいうかのような存在です。日本では特に医療分野の権威が著しいと感じます。だからこそ日本は長寿大国として現在君臨することができているのではないでしょうか?

ある症例に対する医師の判断は、その医師より高い地位にいる医師でもなければ、覆すことができません。その結果、医師の命令に対する自動的な服従という伝統が、医療従事者のあいだで長く培われてきました。

P.344

医療関係者の中でも権威のヒエラルキーが存在していることがわかる文章です。命に係わることですから、誰が正しいことを言っているのか混乱すると危険です。なのではっきりとヒエラルキーを明示することで規律と命を守っているのでしょう。

コミュニケーションの研究者によると、会話において、人は無意識に声の調子や話し方を、権力や権威をもつ人物の物言いに近づけている。

P.346

言われてみれば、今までもそのようなことがあった気がします。集団の中では特に誰が権威を持っているのか、わかりづらい時は皆の話し方に注目してみるのも面白そうです。

重要なのは中身ではなく外見

肩書きによって見知らぬ人を自分の言いなりにさせることができるばかりでなく、自分の背丈を実際より高く見せることもできるのです。

P.351

人は大きさと地位を関連づけるものなので、大きさに地位の代理をさせて、何らかの利益を得ることができます。個体の地位が支配力・優位性に基づいて決まる動物の社会では、個体の身体の大きさが集団内での地位を決定する重要な要因となります。

P.352

ライバル同士、互いに相手に対する派手な攻撃性を示して向かい合いますが、このとき常に自分の身体を大きく見せるトリックが使われます。

P.352

権威のある肩書は人を実際よりも大きく見せる傾向があるみたいです。また、身体の大きさは動物にとって地位を決定するのに重要な事柄であることもわかっています。たしかに、身長が大きいというだけでモテてしまう人もいますよね。体の大きさと権威、この関係性は今後も周囲をよく観察してみたいです。

本当に恐ろしい結果です。95%の正看護師が、このような明らかに間違った指示になんの躊躇もなく従ったのです。

P.354

何をすべきかを判断するにあたって、自分の豊富な医学的訓練や知識をまったく利用しませんでした。そうする代わりに、職場では正当な権威に対する服従が常に好ましく効率的な行動だったので、自動的服従に身を任せたのです。

P.356

なんといっても教訓的なのは、看護師の自動的服従が、本当の権威ではなく、最も簡単に偽造できるシンボル―単なる肩書―に反応して間違いを犯すほど徹底していたという点です。

P.356

本書では看護師が医者を名乗る男からの誤った指示に従うかどうかを検証しています。そしてその結果はほとんどの確率で看護師は医者の指示に従ってしまうということがわかりました。一歩間違えれば医療事故にもなりかねないこの事実は驚くばかりです。だからこそ医者は責任をもって指示出しをしなくてはならないし、看護師側も自分の持っている医療知識もしっかりと照らし合わせて考えなくてはならないのでしょう。しかし現実世界では皆、思考の近道をとおってしまうのが現状らしいです。

機械的な服従の引き金となる権威のシンボルの二つ目は服装です。

P.356

看護師は「裾の長い白衣」から出た指示に、ほとんど疑問をもちません。

P.357

彼らは二人組の詐欺師で、本物そっくりに作った制服であれば、人びとが催眠術にかかったように「権威」に服従すると知っていたのです。

P.361

肩書の次に権威のシンボルとなるのは服装だそうです。警察官のコスプレや医者のコスプレをしてそれらしいことを言うだけで、私たちは多く従ってしまうだけの影響を服装は持っているとのことです。

制服ほどあからさまではないものの、私たちの文化には、ほかにも伝統的に権威者の地位を示すと見られ、効果を上げている装いがあります。仕立てのよいスーツです。

P.359

採用面接は優秀な人を採用する場ではなくて、優秀そうな人を採用する場なのだということに最近気づきました。だから面接で仕立ての良いスーツをきちっと身に着けて面接に行って、優秀そうな振りをしていればきっと面接はパスすることができるかもしれません。

それと似た効果をもつのが宝石のような宝飾品や自動車です。アメリカでは、特に自動車に関心がもたれます。「アメリカ人の恋は車で実る」というように、自動車には格別な意味が与えられているからです。

P.361

肩書、服装の次に権威のシンボルとなったのはアクセサリーでした。ここではアメリカでの例をあげていますが、かっこいい男を両サイドに侍らしてアクセサリー代わりにする女性も数多いますよね。こういった皆が欲しがるアクセサリーを持っているだけで、権威を持っていることを誇示することができるのです。

防衛法

権威に対する私たちの防衛法の1つは、こっそりと侵入してくる権威の要素を排除することです。

P.362

この問題に対する基本的な防衛法は、権威が持つ力を十分に意識することです。

P.362

これまで紹介してきた通り権威は私たちを服従させてしまうだけの影響力を持っています。

だからこそ権威は何か?その影響力はいかほどか?ということをしっかりと認識していくことが必要となりそうです。

私たちは権威に対してまったくといってよいほど抵抗しようと思わなかったのです。

P.363

権威者のほとんどは専門家でもあります。実際、ある辞書による「権威」の定義は「専門家」となっています。

P.363

大切なのは、過度の緊張や警戒をさせずに、権威者の指示に従うべきときと、そうすべきでないときの区別がつけられるようになることです。

P.363

権威は専門的な知識や経験を持っているからこそ権威的であるのです。だからこそ、単に権威から身を守るという発想は違うでしょう。本書に記載のある通り、権威に自ら従いにいくときと、そうしない時とを区別していくことが必要になりそうです。

最初に発すべき質問は「この権威者は本当に専門家だろうか」というものです。

P.364

2番目の簡単な質問―「この専門家は、どの程度誠実なのだろうか」を発するべきです。

P.366

つまり、確実に専門家であり誠実に私たちの要求に応えてくれる存在かどうかが見極めポイントとなります。

私たちを納得させることによって利益を得る専門家よりも、第三者的立場にいるように思われる専門家の方から、私たちはより強く影響を受けます。

P.366

承諾誘導の専門家は、些細な欠点を認めて自らの誠実さを印象付け、それによってもっと肝心な論点を強調するときに、相手からより強い信頼を勝ち取れるようにしています。

P.366

つまるところ、誠実であるとわかった専門家ほど信頼できる人はいないというわけです。

P.369

権威に見極めがわかった一方で、権威の側が誠実さをアピールしてくる場合もあるでしょう。はたから見たら利益のために行ず、専門的で自分の欠点もさらけ出すことに長けている権威をみかけたら確かに人はそれを信じてしまいます。

設問

内容の理解1

研究者と犠牲者の役割を換えた結果、参加者は犠牲者の要求を拒んだもの。

内容の理解2

研究者たちが言い争いをしているため、どちらがより有力なボスであるかを参加者が見極めます。その後、権威者の言うことが間違っているとわかると参加者は自分の本能で実験を中止した検証では、いかに私たちが権威に対して最終局面まで盲目的服従であったかがわかる。

内容の理解3

最も権威のあるシンボルは肩書・服装・アクセサリーである。

中学生の時副キャプテンという肩書のおかげで皆が協力的にチームを支えてくれた。

白衣を着た医者に少し畏敬の念を感じた。

クリティカル・シンキング1

フライト前に「たとえ君が副機長で私が機長という関係性であったとしても、計器が示すことをしっかりと見ておいてくれ。そして私が間違っていると判断した際はそっと助言をくれ。私は君を信じている。」と言う。

クリティカル・シンキング2

体の大きな人はそれだけ多くの獲物を獲得することができたので、地位が高く見積もられてしまう。この傾向はしばらく続くだろうが、人間がこのバイアスを広く自覚することでこのバイアスは解消される傾向にある。

クリティカル・シンキング3

CMの中盤に欠点をいい、その後長所を全面に出して誠実さをアピールする。

クリティカル・シンキング4

専門家とはすなわち権威であり、権威に従うことで私たちは社会を発展させてきた。しかし、その権威が常に誠実であるとは限らない。冒頭の写真は少し怪しい印象を受けるので、権威に従うことはやめておきたい場面である。

以上が第6章「権威―導かれる服従―」の考察になります。

医者など権威を持つ人の影響力はそれとなく想像することができましたが、権威のシンボルである肩書・服装・アクセサリーですら多くの人に影響を与えることができるのだと知ってかなり驚きました。特に服装は私自身今まで気を使ってこなかった分野だったので、これまで少し損していたのかなとも思いました。

権威に対して盲目的に服従せず、専門性と誠実さをきちんと見極めて判断していきたいですね。

そしてもっと詳しく知りたいと思った方はぜひ本書を購入して読んでみてください!

このブログでは紹介できていない事例が沢山乗っていて、深く理解することができます。

次回は第7章「希少性―わずかなものについての法則―」を考察していきます。

それではSee you next time!!

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