「影響力の武器」を考察してみた~概要編~

心理学
Q:私達の行動に影響を与えている大きな力はいったい何なんでしょうか?

私達は日々、何かしらに影響を受けて生活をしています。
日常で目にする広告やTV、人の会話など影響を与えるものは多数存在します。
今回は世界的名著である「影響力の武器」を参考に、その正体を一緒に考えていきましょう。

本書はあのメンタリストDaiGoさんが心理学を学ぶきっかけになったという一冊です。

心理学を学びたい人、影響力の武器から自分の身を守っていきたい人などはぜひ本書を購入して読んでみてください。

今回は本書の第一章「影響力の武器」を参考に、私の心の琴線に触れた箇所をピックアップして考察していきたいと思います。

カチッ・サー

文明が進歩するということは、自分の頭で考えなくても様々なことが出来てしまうということである。

P.2

例えば信号は私たちが生活したり移動したりするのに必要不可欠なシステムですが、赤信号=止まる・青信号=進んで良いというように自分の頭で考えずとも自動的に反応して行動させている道具の一つになっています。確かに交通整理がしやすくなったり、交通事故減少につながっているのは事実だと思いますが、果たしてこれは自分の頭で逐一考えて行動していると言えるのでしょうか?

たった一つの音によって母性本能を自動的に制御されてしまっているロボットのようです。

P.5

本書では七面鳥の親鳥がひな鳥の鳴き声に反応して自分の子かどうかを判別する事例を紹介しています。例えその鳴き声の正体が録音テープであっても、親鳥はそれを自分の子と認識してしまうのです。ひな鳥に限らず人間も含めた全ての動物がこのような固定的動作パターンを持っているのは驚いたと同時に、かつて動物園で見たクマのことを想い出しました。その動物園でのクマへ餌をやることが出来るのですが、エサをもらう際クマたちは同様に所定の位置にすわり手を振ってくるのです。まるでそうすることをプログラミングされているかのような印象を受けました。これは動物園の中での話ですが、もしかしたら私達人間も既にプログラミングされているのかもしれません。

世界中の広告で、女性は自分の身体的魅力を記すのに対して男性は自分の物質的な富について記す傾向があるという。

P.7

動物の求愛行動に規則性があるように、人間の求愛行動にも一定の傾向がみられるという研究結果がでているそうです。異性のどのような部分にそれぞれ注目しているのかがよくわかる一文です。

よく知られた人間行動の原理の1つに、理由を添えると頼み事が成功しやすくなる、というのがあります。人間というのは、自分がすることに対して理由を欲しがるものです。

P.8

「~ので、お願いできますか?」というようにきちんと理由さえあれば人は頼み事を聞いてくれるというのは面白い傾向ですね。逆に言うと適当な理由がない場合には人間は頼み事をきいてくれない傾向にあるということがわかります。面倒くさがらずに理由をきちんと説明していくようにしていきたいです。

品質の善し悪しを決める信号刺激が価格しかなかったために、価格の劇的な上昇だけが、品質のよい宝石を追い求める客を刺激でき、その結果、売上が大きく伸びたのです。

P.10

宝石に限らず、私達はそのものの価値を正しく測定できるだけの知識・力量がない場合は価格などの特定の尺度のみに依存して価値を評価する傾向があるみたいです。宝石以外でいえば、たとえばエンジニアがプログラミング能力に重きを置いた評価がされてしまうのもこのようなことが言えると言えます。

思考の近道に賭ける

こうしたてっとり早い方法、つまり思考の近道に沿って行動するのが、結局は最も合理的なやり方かもしれません。

P.12

カチッ・サーの行動がなぜ備わっているのかというと、それは生存のためであると私は考えます。日常生活をしていると考えるべきことが沢山あり、まさに選択の連続です。そんな時にいちいち立ち止まって全ての選択と可能性を熟考していては、生活がままなりません。なのである意味ではこのカチッ・サーは神が与えてくれた能力の1つであるのでしょう。

おそらく、この点が最も劇的に強調された事例は、航空会社の職員が機長症候群と名づけた、人の死に直結する現象でしょう。

P.16

神が与えてくれた能力ではあるものの、この能力に頼りきりになっていては危険な目にあうことも確かでしょう。本書では機長に盲目的に従う副機長について紹介されていましたが、「専門家がそう言うなら、正しいに違いない」として行動に影響を受けてしまうのは身の回りに多く存在する現象だと思います。

誰が得をしているのか

注意すべきなのは、私たちが、自分では重要な問題について熟考せずに判断することが多い一方で、自分にアドバイスをくれる人たちー医師、会計士、弁護士、投資アドバイザーーには、熟考の上の判断を望んでいるという事だ。

P.17

アドバイスを鵜呑みにしてはいけない、なんて部活動をやっていたころ教わりましたが、やはり膨大な経験と知識を持っている人達の判断やアドバイスは盲目的に従ってしまうものです。知識や経験を沢山持っていることと、よく考えて誠実にアドバイスしてくれるかどうかは別としてとらえることが大切になってきそうです。

世の中には、自動的な影響力の武器がどこにあるのかをよく知っており、自分の欲しいものを得るためにそれをうまく使いこなす人たちがいます。

P.20

世にある広告なんかはほとんどがそうであると思ってます。水着を着た美女の広告やイケメン俳優が白衣を着て医者として宣伝文句を言うなど、影響力があるものを上手く利用して消費者に行動をおこさせるように仕向けてきます。私たちができることといえば、そのような影響力を利用している人達が存在しているという事実をまずは認識することでしょう。

柔道

セールスマンがもっと多くの利益を上げようと思うなら、高価な品を先に見せるべきです。そうしないと、コントラストの原理の影響力を利用できないばかりでなく、その原理のせいで商品がやりにくくなってしまいます。

P.24

知覚のコントラストとは1番目と2番目に提示されるものが異なっている場合、2番目に提示されるものが実際以上に最初のものと異なっているように考えてしまう傾向のことをいいます。それを利用していわゆる錯覚をおこさせて、柔道のように少しの力と他人の力を利用して相手を倒すようなことが実際に日常でも行われているのです。

「ひどい家をいくつか最初に見せておくと、その後の家が本当に立派に見えるんだ」

P.26

ここでは不動産仲介業者での例が示されていますが、これも知覚のコントラストを利用したものです。物件探しの際は、このようなバイアスを抜きにして選んでいきたいものです。

設問

各章の末端には、内容の理解に対する質問と応用した質問クリティカル・シンキングが用意されています。ここでは質問文を掲載することはあえてしませんので、ぜひ本書を購入してからこちらをご覧ください。以下。私なりの回答を記述しましたが、正解である保証はどこにもありませんのでご了承ください。

内容の理解1

動物に見られる固定動作パターンとは本能的に求愛や交尾の儀式などで用いられる規則的で盲目的な機会的な行動パターンのことである。人間行動においても自動的反応を引き出す信号刺激をまねて利益を得る者がいる点では動物と類似しているが、人間の場合は過去に受け入れるように学習してきた心理学的原理やステレオタイプから行動様式が作られている点で動物と異なっている。

内容に理解2

人間の自動的反応が魅力的な理由は人間社会が複雑な環境であるがゆえに、自動的な反応を用いて行動する方が効率的かつ合理的に楽をすることができるからである。また、その反応は生死を分ける重要事項についてさえも用いられることがあるために危険である。

クリティカル・シンキング1

骨折だけでなく精神的な苦痛・トラウマも植え付けられたとして慰謝料100万ドルを請求する。

クリティカル・シンキング2

知覚のコントラストとは1番目と2番目に提示されるものが異なっている場合、2番目に提示されるものが実際以上に最初のものと異なっているように考えてしまう傾向のことをいう。寄付依頼カードでは最低金額をより高い金額で挟むことによって、「これくらいの金額なら寄付しても良いか」と多くの人々に思わせることができ、より多くの人から寄付を集めることが可能となる。

クリティカル・シンキング3

1番目の指摘は物事を単純化し過ぎると自分の頭で考え判断する能力が落ちてしまう危険性を指摘している。

2番目の指摘は専門家の意見ばかりを盲目的に信じてしまう危険性を指摘している。

クリティカル・シンキング4

広告や信号などの人間行動様式を利用した社会の中で私達は生活しているという点で本書の内容を反映している。

以上が第一章「影響力の武器」の考察になります。

私達人間も動物と同じような行動様式が存在しており、その影響を多大に受けて生活していることにすらほとんどの人が気づいていない現実にとても驚きました。まずはこの現実を認識できたことが大きな成果と言えるのではないでしょうか?

もっと詳しく読んでみたい!っと思った方はぜひ本書を購入して読んでみてください!
このブログでは紹介できていない事例が沢山乗っていて、深く理解することができます。

次回は第2章「返報性」~昔からある「ギブ・アンド・テイク」だが~を考察していきます。

それではSee you next time!!

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