「影響力の武器」を考察してみた~希少性~

心理学
Q:私達の行動に影響を与えている大きな力はいったい何なんでしょうか?

私達は日々、何かしらに影響を受けて生活をしています。

日常で目にする広告やTV、人の会話など影響を与えるものは多数存在します。

今回は世界的名著である「影響力の武器」を参考に、その正体を一緒に考えていきましょう。

本書はあのメンタリストDaiGoさんが心理学を学ぶきっかけになったという一冊です。

心理学を学びたい人、影響力の武器から自分の身を守っていきたい人などはぜひ本書を購入して読んでみてください。

今回は本書の第7章「希少性―わずかなものについての法則―」を参考に、私の心の琴線に触れた箇所を中心に考察していきたいと思います。

具体的に以下のような疑問・問題を抱える人にはぜひ読んでみていただきたいです。

Q:ニンテンドースイッチが手に入らなくなるかもしれない!と聞いて急いで入手しました。あれ、こんなにゲーム好きだっけ?という感覚に襲われています。なぜ急いで購入してしまったのでしょうか?

少ないものがベスト 失うことはワースト

それ自体には本来ほとんど魅力を感じていなかったものが、ただ、それを見られる可能性が急速になくなりつつあるというだけで、明らかにずっと魅力的になっていたのです。

P.378

一般に、ある品物の数が少ないか、すくなりつつあるなら、それだけその品には価値があることになります。

P.378

手に入りにくくなるとその機会がより貴重なものに思えてくる。

P.379

幼少の頃、ポケモンカードなどのカードバトルをよくしたものです。そこではレアなカードを皆が欲しがる傾向にありました。レアなもの=価値が高いという状態です。ただし、レアなカード=強いというわけではなかったのです。強いカードを欲しがる理由は対戦に有利だという理由がつきますが、レアなカードに需要があるのはまさしく希少性の効果が発揮されていたからなのでしょう。

実業の世界を対象とした研究でも、経営者は獲得の可能性よりも損失の可能性の方を重く見ていることがわかっています。

P.380

損失回避の法則、と言われるやつでしょうか。同じ100円だったとしても、もらう場合と失う場合では心への影響が損失の方が大きいってやつです。希少性の効果においてもきっとこの現象が組み合わさっているのでしょう。

「後では手に入らないという脅しをかけて信じ込ませ、今欲しくさせることによって、取引についてあれこれ考える時間を与えない」

P.385

希少性の効果に加えて、「いつ決めるの?今でしょ!」という制限を課すだけで希望の答えは返ってきやすいみたいです。

心理的リアクタンス

手に入れる機会が減少するとき、私たちは自由を失います。そして人は、すでにもっている自由を失うことがどうにも我慢なりません。

P.388

自由な選択が制限されたり脅かされたりすると、自由を回復しようとする欲求から、私たちはその自由を以前よりも強く求めるようになります。

P.388

心理的リアクタンスとは、選択の自由が狭められそうになる時に、その閉まりそうな戸口に抵抗をしようとする現象です。某巨人アニマではないですが、私たちは生まれながらにして自由なのです。そしてその自由を侵害しようとするのであるならば抵抗をし続けるのです。

鳥かごに囚われていた世界はある意味、外の世界に行けないという自由だったのです。外の世界があることを知ってしまった場合、そこに立ち入れないのは自由に対する侵害だったのではないでしょうか?だからその自由を邪魔をする巨人は駆逐すべき対象になったのです。

入手しにくい物には価値があるという考え方があまりにも深く浸透しているため、その逆も同様に信じられている。つまり私たちは価値のある物は手に入りにくいと考えているのである

P.389

宝石について詳しくない人にとって、宝石のレア度を決めるのは値段となるわけです。だから間違った値段を付けてしまった場合、お客さんは単なる石ころでも「きっと世にも珍しい宝石であるに違いない」と思って購入してしまうのです。

若者の行為に親が圧力を加えた結果、かえって悪影響をもたらしてしまうことの最も鮮やかな具体例は、「ロミオとジュリエット効果」として知られている現象です。

P.392

親の干渉が強まった場合は愛情も強まり、干渉が弱まった場合はロマンチックな感情も冷めていったのです。

P.393

ロミオとジュリエットのお話は詳しく知りませんが、身分の違いから親から反対された恋愛をしてしまい、結果的に心中を図るという話だったと思います。(詳しくは下記を読んでみてください。)これも心理的リアクタンスが現れているわけです。恋愛の自由に干渉されるのならば、それに反発するように一層恋愛は激しくなっていく。禁止されればされるほど魅力的になってしまうあの現象です。

ほとんど例外なく、ある情報の入手を禁じられると、私たちは、一層その情報を求めるようになり、その情報をより好ましく思うようになるのです。

P.397

興味深いのは、情報の受け手が情報を受け取ってもいないうちから、その情報を信じるようになるという点です。

P.398

ハリーポッターの世界で図書館の奥に「禁書の棚」エリアがあったのはご存知でしょうか?賢者の石について調べるハリー達が侵入したエリアです。あの映像を観た時は多くの人がきっと「禁書の棚」をもの凄く魅力的に見ていたに違いありません。魔法ってだけで魅力なのにその禁じられた情報が記載されている書物なんてきっと凄い情報が書いてあるに違いないって思ったはずです。どんな書物があったかはわかりませんが、このように禁じられた情報に私たちは魅了されてしまうのです。

最も効果的な戦略は、人気のない自分たちの見解を宣伝するのではなく、自分たちの考えが公的に検閲を受けるように仕向け、それから検閲を受けた話を公表するというやり方なのかもしれません。

P.398

公式の検閲という手段は、その目的と相反する効果しか及ぼさないのではないかという気がします。

P.399

またハリーポッターの例になりますが、「不死鳥の騎士団」ではアンブリッジや闇の魔術に対抗する術を学ぶべくダンブルドア軍団として一部生徒たちが密かに護身術を学んでいました。この軍団の存在を公に否定して厳しく取り締まろうとアンブリッジはしましたが、この取り締まりは返ってダンブルドア軍団の魅力を増させ、結束力を高めたに違いありません。映画の中でもダンブルドア軍団が取り締まり強化されればされるほど観る者の心を高ぶらせていた印象があります。

最適の条件

たくさんあったのに少なくなってしまった場合の方が最初から少なかった場合よりも、クッキーに対する反応は明らかに好意的でした。

P.404

少し変わったたとえ話で恐縮ですが、男の人の髪の毛は基本的には年とともに抜けて減少していくものです。だからこそ男性陣は髪の毛を減少させないように育毛剤などの手をつかって毛を生やしたり、維持したりするのです。少し見方を変えてみると、最初から人類全員の髪の毛がない状態がデフォルトだった場合、私たちは髪の毛に対してこれほどまでに執着したでしょうか?きっとしていなかったでしょう。これも元あった状態から減っていくものであるからこそ希少に思えて価値を高く見積もるのでしょう。

自由ということに関して言えばそれをしばらくのあいだ与えることは、まったく与えないより危険なのです。

P.407

人びとが最も鮮烈な戦いを繰り広げるのはいつも、長らく確率されてきた権利を守ろうとするときなのです。

P.409

「板垣死すども自由は死せず」なんて台詞を聞いたことはありますでしょうか?明治時代において藩閥政府に対して、憲法改正、議会の開設、地租の軽減、不平等条約の改正阻止、言論と集会の自由の保障などの要求をする自由民権運動を行っている主要メンバーの一人板垣退助が暗殺されかけた時に言ったセリフです。自分の命をはってでも自由を守ろうとするだけに、人類にとっては自由は大切なものであることがわかります。そして一度与えてしまった自由を撤回するのはさらに苦労が必要になってしまうのです。

社会的需要によって手に入りにくくなったクッキーは最も望ましいと評価されたのです。

P.411

あるものの数が少なくなるだけでも、それが一層欲しくなるものですが、そこに競争が加わると、欲しいという気持ちはさらに高まるのです。

P.411

少ない資源を求めて競争しているという感覚は人びとを強力に動機づける性質を持っています。ライバルが現れた途端、冷えた恋人の心にも情熱が渦巻くようになります。

P.412

なんとかそれを手に入れようと一直線に突進する集団は、競争を煽る状況に乗せられて、ほとんど盲目と化しています。人間も魚も、自分の欲しいものが何だったのかを忘れ、競いあっているものなら何にでも食らいつこうとしはじめるのです。

P.413

競争が競争を生むというように、他の人からの需要があからさまになった時に雪だるま式に他の人が需要を呼び込んでくるために希少性の効果が強力に発揮されることもあるみたいです。恋のライバルしかり、オイルショック時のトイレットペーパー争奪戦しかり私たちの競争心に火をつけた希少性の原理はおそろしく燃え上がるみたいです。

防衛法

その喜びは希少な品を体験することではなく、所有することにあるのです。

p.419

所有する目的だけのために、ある物が欲しくなることはほとんどありません。たいていは利用価値があるから欲しくなるのです。

P.419

なぜだかわからないけど希少だから購入してしまいそうになった時は、一度立ち止まって冷静になりましょう。そして「これを所有して何に使うんだ?」ということを自分に問いかけましょう。そうすることで周囲からの影響を受けた受動的な消費は少なくなるはずです。

設問

内容の理解1

希少性の原理と心理的リアクタンスはともに入手しづらくなってしまうモノに対して、以前より増してそのモノの価値を高く見出すようになる点において共通している。

内容の理解2

2歳児においては、自分自身を一人の個人として認識し始めるため独立した存在としての選択の自由を持つようになり、その自由を制限するものに対して抵抗するようになるためリアクタンス効果が生じやすくなる。

10代においては、親の支配からの脱却をし大人としての役割を果たそうとするようになるためリアクタンス効果が生じやすくなる。

内容の理解3

双方の親たちが作り出す様々な障壁がより一層2人の恋を燃え上がらせ、最終的には自由意志の究極の選択「心中」を選択することで親への抵抗と自由獲得を表現した、と観測する。

内容の理解4

禁じられた情報であるのならば、オープンソースの情報よりも価値ある情報であると認識する。

内容の理解5

社会的な需要に伴い入手しづらくなったモノに対して、私たちは最大に希少性の効果を発揮させる。

クリティカル・シンキング1

銀の希少性の性質から言及した。なぜなら余った銀を蓄えることに喜びを感じるのは所有に対する喜びであり、希少である銀を所有するのに銀を持ちすぎることはないため、もういらないという状態にはならない。

クリティカル・シンキング2

他では手に入らない情報(独占的な情報)だと思うだけで、その情報により説得力があると皆が考えるようになり、このような現象を説得の「商品理論」と呼ぶ。

クリティカル・シンキング3

倫理的に許容されるものではあるが、他顧客が団結を行った場合は販売側が痛手を負う可能性がありリスクがある。倫理的に問題ないと思う理由は、この世の中このような手法と似たようなことばかりが乱立しており、相対的に問題にならないと思ったからである。

クリティカル・シンキング4

10代は特に心理的リアクタンスの影響が大きく行動にうつりやすいため。

クリティカル・シンキング5

もうすぐ閉店であることがわかると、今までは手に入れられる機会があったのに今後はその選択ができないことがわかり心理的リアクタンスが働きどうにかして選択肢を維持しようと少しでも店の利益につなげて閉店を阻止しようという気持ちが働くため。

以上が第7章「希少性―わずかなものについての法則―」の考察になります。

小さな頃からレアなものに対する価値観は育まれてきたのですが、レアなものがなぜこれほどまでに欲しくなってしまうのかについて知ることができたのではないでしょうか?

そしてこの希少価値というものは他の人との競争性が加わわるとなお一層輝きを増すこともわかったので、この手法を利用した宣伝にはひっかからないように気をつけていきたいとも思いました。

そしてもっと詳しく知りたいと思った方はぜひ本書を購入して読んでみてください!

このブログでは紹介できていない事例が沢山乗っていて、深く理解することができます。

そして今回を持ちまして影響力の武器の考察は終了となります。

私たち人間がいかに機械的に動いてしまうのかがわかる内容となっており、またその武器の正体についても実例をわかりやすくあげながら解説してくれるこの一冊は本当に価値ある一冊となりました。

私は大学受験の際に、商学系に行こうか心理学を専攻しようか進路に迷っていた時期がありました。
結果的には商学の進路を選んだのですが、大学卒業後も心理を探求してみたい気持ちは変わらず、こうして参考書や動画を観ることで自分の好奇心を満たしています。

今後も心理学に関する投稿は続けていきたいと思いますので、心理学に興味がある方はぜひこのブログを読み続けていただけたら幸いです。

それではSee you next time!!

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