日本の3大スパイ組織を体系的にまとめてみた

社会

スパイは映画やドラマだけの存在と思っている人もいるのではないでしょうか?

実は私たちの日常の中にスパイは多数存在しているのです。

今回は日本の3大スパイ組織である、内閣情報調査室警視庁公安部公安調査庁の活動内容や組織体制についてそれぞれ解説していきたいと思います。

スパイ組織というだけあって、具体的な案件内容や詳細はわかりませんが体系だっての組織全般に関することは知ることできますので、この機会にぜひ3大スパイ組織のことを理解してみてください。

この記事を読み終えた時には、通りすがりの人がスパイに見えてきちゃうかもしれません。
そんなワクワク感も感じられる日常への理解を求めて、ぜひ最後まで読んでみてください。

そして読者の方のこんな疑問を解消することができます!

Q:アメリカのFBIやCIAのようなスパイ組織は日本にも存在するんでしょうか?
Q:映画やドラマで出てくる公安って組織はどんな組織なんでしょうか?
Q:官需の仕事で顧客に内閣情報調査室があります。どんな組織なんでしょうか?

それでは3つの組織それぞれについて記載していきます。

内閣情報調査室

組織名

内閣情報調査室(通称:内調

Cabinet Intelligence and Research Office(略称:CIRO

役割

日本のトップである内閣総理大臣の方針決定のために重要情報の収集・分析を行う。

歴史

1952年4月、第3次吉田茂内閣時に前身である総理府内閣総理大臣官房調査室が設立された。当時はW.W.Ⅱ後の日本の体制を整えてきたGHQが撤退するため、今後の日本の情報収集機能を補う必要があり、特に社会主義の旧ソ連・中国・共産党に関する情報が求められていた。

1957年、第一次岸内閣時で組織が内閣官房に置かれるようになり、名称も「内閣調査室」に改名された。

1958年、第二次中曽根内閣で現在の名称である「内閣情報調査室」に改名し、併せて「合同情報会議」が編成され年2度の情報機関による合同会議が実施されるようになった。

上記のような歩みの中では日本のCIAとして世界水準の情報機関へ拡大する構想も持ち上がったが、戦前の内閣情報局に逆戻りとの世論もあったので官邸の情報機関として存在するようになった。

人数

職員数:194人(2019年3月時点)

内調は官邸警察派が多く占めているといわれています。内調内の具体的な動きについては官邸ポリス(下記リンクの書籍)をご覧ください!

拠点

内閣府庁舎6階

組織体制

内閣情報官

毎週火・木曜日にはインテリジェンスペーパーを携えて総理報告を行い、その他緊急に応じて報告を行う。
日本の情報機関の長であり、アメリカのCIA長官、イスラエルのモサド長官と同列の立場でインテリジェンスマスター。

次長

内調のNo.2。

内閣衛星情報センター(CSICE)

出典:https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/csice.html (内閣衛星情報センターの概要)
  • 通称ホシ
  • Cabinet Satellite Intelligence Center(略称:CSICE)
  • イミント(Imergery Inteligence)の収集・分析を行う。
  • いわゆるスパイ衛星は光学衛星レーダー衛星があり昼夜問わず撮影可能。
  • 日本の安全保障を目的とした日本の偵察衛星である。
  • 警察庁・防衛省からの出向者が半数を占め、総数は約230名。
  • センターは市ヶ谷にあり、防衛省本省が拠点。
  • 大災害の際は画質がわからないように低画質で公開している。
  • 日本の衛星に加えて高分解能な外国衛星画像も入手&分析している。
  • 衛星画像は特定秘密の該当する。(軍事施設や政府関連施設を撮影するため)
  • 組織体制は下記の通り。
出典:https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/csice.html (内閣衛星情報センターの概要)
  • 所長
    • 2018年時点では元防衛省情報本部長からの出向者。
  • 次長
    • CSICEのNo.2。
  • 管理部長
    • 人事・会計・イミント収集に係る計画&運用管理を行う。
  • 分析部長
    • イミントの分析を行う。主任分析官内に国土地理院からの出向者がいることもある。
  • 技術部長
    • IGS開発計画&管制を行う。
  • 副センター長
    • 衛星との通信&中央センターの代替機能を担う。
  • 北受信管制局長
    • 北海道苫小牧に存在する。
  • 南受信管制局長
    • 鹿児島に存在する。

内閣審議官

内閣情報分析官

特定の地域・分野に関する特に高度な分析を担当する。

国内部門主幹

国内情報の収集・分析を担当する。

  • 政務班
    • 政府の重要政策に関する情報収集を行う。
  • 政党班
    • 各政党に関してインテリジェンス活動を行う。
  • 選挙班
    • 国政選挙に関わる各党の動向を見る。
  • 特命班
    • 内閣総理大臣・官房長官からの特命事項を扱う。
      マスコミ担当は世論工作部門も存在すると言われている。

国際部門主幹

海外情報の収集・分析を担当する。

  • アメリカ班
  • ロシア班
  • 中国・韓国・北朝鮮班
  • ヨーロッパ班
  • 軍事班
    • 防衛省から出向している担当者が本省から情報を得てフィードバックしている。
  • 交換班
    • 国内にある海外情報機関との意見交換役(リエゾンオフィサー)。アメリカCIA、イスラエルのモサドの分析官やスパイとも定期的に情報交換を行う。
  • 商社班
    • 日本総合商社で情報協力者を開拓し、海外現地のホットな情報を入手する。

経済部門主幹

株価や為替の動向など経済情報を担当する

  • 「国内経済部門」
  • 「国際経済部門」

総務部門主幹

人事・予算・広報・研究提言のまとめ・総合分析・特定秘密の保護に関することを担当する。

  • 庶務班
    • 内調全体の庶務・人事・広報を担う。
  • 調査研究班
    • 専門家の論理研究・ラヂオプレスなどの情報収集委託団体の管理を担う。
  • 特定秘密保護法運用班
    • 2013年に成立した特定秘密保護法に関する業務を担う。法案の作成・企画・運用・総合調整も行う。アメリカからの秘密情報漏洩防止のため、アメリカがプッシュした法律でもあった。安倍内閣が北村内閣情報官に「特定秘密の守護神」になることを希望した。

内閣情報集約センター

24時間体制で災害などの有事の際の情報を収集して一元化する。

  • 庶務班
    • 日本新聞などの資料の収集&保管を行う。
  • システム整備班
    • 情報連絡網の管理を行う。
  • ニュース班
    • 共同通信・時事通信・ラヂオプレスの情報収集&整理を行う。
  • 情報班
    • 緊急時に関係省庁・民間・公共機関からの情報収取&整理を行う。

カウンターインテリジェンスセンター

日本初の防諜機関を行う。

国際テロ情報収約室

2015年設立。総理大臣官邸直轄の国際テロ対策部隊。
内調は下記のような外部委託先に調査の一部を委託している。

  • NHK
  • ラジオプレス
  • 共同通信社
  • 時事通信社

事例

内閣情報調査室が活躍した事例をいくつか紹介していきます。

日朝首脳会談

2018年の北朝鮮訪問の時も内調は調整役として活躍した。
今までは外務省ルートで日朝首脳会談の事前調整を行っていたが、当時の北村内閣情報官、重永国際部門主幹が主導で行われた。これは米朝首脳会談がCIA主導と北朝鮮情報当局(朝鮮労働党統一戦線部)で水面下で行われた秘密外交を模範したといわれている。

その他

入局後

内閣情報調査室に入ったスパイの卵が行うのは「公刊情報の徹底した収集」(Open Source Inteligence)。
結果的に内調スパイは半年で「情報選択の達人」に成長していく。

合同情報会議

合同情報会議の参加者は以下の通りで、「国家の治安と安全保障に関する高度な情報交換」が趣旨となっている。

  • 内閣官房副長官(主宰)
  • 内閣情報調査室長(事務局)
  • 内閣安全保障室長
  • 警察庁警備局長
  • 外務省情報調査局長
  • 防衛庁防衛局長
  • 公安調査庁次長

※国家機密レベルの情報のため議事録は作成されない

内閣情報会議

内閣情報会議の参加団体(情報コミュニティ)は以下で、合同情報会議の発展形として開催される。

  • 内調
  • 警察庁
  • 防衛省
  • 公安調査庁
  • 外務省
  • 経済産業省
  • 海上保安庁
  • 財務省
  • 金融庁

年に2度開催され、以下のメンバーが参加する。

  • 内閣官房長官(議長)
  • 官房副長官(3名)
  • 内閣情報官
  • 内閣危機管理監
  • 国家安全保障局長

防衛省情報本部

CSICE所長の出身組織で通称、DIH/内局とも呼ばれている。
2000人規模の大組織。

  • 総務部
  • 計画部
  • 分析部
  • 統合情報部
  • 画像・地理部
  • 電波部
    • 防衛省情報本部の目玉部門。
      • 電波1課:ロシア担当
      • 電波2課:中国担当
      • 電波3課:朝鮮半島担当
      • 電波8課:暗号解読の特殊部門

公安警察

名称

警視庁公安部

役割

極左団体、産業スパイ、国際テロ活動などの国益に関わる組織犯罪を摘発すること

人数

警視庁直轄には1,100人ほどの公安捜査官がいる。
また全国警察にも公安課が設置されている。

拠点

警察庁警備局(通称:ビキョク)が全体の指揮をとり、警察庁企画課(通称:ZERO,サクラ,チヨダ)が現場の司令塔として機能する。

組織体制

  • 公安部長
  • 警察庁キャリア監視官
  • 公安部参事官2名
  • 公安総務課
    • 人員300名ほど。
    • 部内の予算管理・独自のIS(Integrated support)班を持つ
      • 公安1課:極左集団などを監視
      • 公安2課:労働紛争を警戒
      • 公安3課:右翼的団体を監視
      • 公安4課:公安の情報集積センター
      • 外事1課:米・欧・露へのカウンターインテリジェンス
      • 外事2課:中国・韓国・北朝鮮へのカウンターインテリジェンス
      • 外事3課:国際テロ対策公安機動捜査隊を持ち、爆弾事件鑑識活動も行う。

その他

ドラマや漫画の世界でおなじみの「公安」だが、マスコミへ情報を流した者への対処はかなり厳しいものとなっている。

全国一体の原則で統率をとっており、組織は完全なる縦割り。
そのため全ての情報を知るのはトップのみとなっている。

敵対する組織内にスパイを育成するやり方をとっており、その手順は下記の通りである。

  1. 対象の発掘
  2. 基礎調査
  3. 対象の選定
  4. 接触
  5. 累進育成

公安調査庁

名称

公安調査庁
Public Security Intelligence Agency(PSIA)

役割

法務省の外局に位置し、破壊活動防止法・団体規制法・公安調査庁設置法を根拠として団体規制を行う。
公安警察が国内有害活動の摘発を行い、公安調査庁が活動の防止に努めることで役割分担されている。

歴史

極左暴力集団の活動監視として誕生した。

破壊活動防止法を根拠として活動を行っているが、破防法の団体適用は憲法が保障する集会結社の自由に抵触する可能性あり、適用団体は1952の設立以来0となっている。(そのため伝家の宝刀と言われている)

人数

査官・分析官は全国に2000名弱存在する。

拠点

全国に8つの公安調査局・14の公安調査事務所がある

組織体制

  • 公安調査庁長官
  • 次長
  • 総務部
    • 総務課:審理室
    • 企画調整室:合同情報会議
    • 情報管理室:協力者情報管理
    • 広報連絡室:広報・国会議員連絡
    • 人事課:採用・人事
    • 工作推進室:協力者工作管理
  • 調査第一部
    • 調査第一課:国内公安動向・市民団体調査・選挙情勢把握
    • 調査第二課:中核派・革労協規制
    • 第三部門:日本共産党
    • 第四部門:右翼団体
    • 第五部門:革マル派
    • オウム特別調査室
  • 調査第二部
    • 調査第一課:日本赤軍・よど号・国際テロ
    • 調査第二課:リエゾン
    • 第三部門:韓国・北朝鮮
    • 第四部門:中国・東南アジア・欧米・ロシア
  • 公安調査庁研修所

※2019年1月時点

事例

オウム真理教

真理教に対して破防法が適用されそうになったが、公安審査委員会で不適用とされた。

その他

破防法は政治目的での殺人・強盗・爆破物使用など「暴力主義的破壊活動」を行い、将来も繰り返す明らかなおそれがあると認められる団体に対して規制措置をとる法律。

公安調査庁は公安警察と異なり、捜査権・逮捕権を持たず、立ち入り検査権のみが与えられている。そのため協力者工作に特化したヒューミント作戦を得意としている。

公安調査庁の年間の調査活動費は約20億円で、協力者を取り込むための手段は報奨金が全てであるため協力者は青天井の報酬を受け取ることができる。

破防法を根拠として活動に限界がきて存在意義があやふやになった公安調査庁は、今後の主な調査対象を「オウム」と「海外」に絞るようになった。

参考

内閣衛星情報センターHP:https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/csice.html

内閣情報調査室HP:https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jyouhoutyousa.html

Wikipedia

以上が「日本の3大スパイ組織を体系的にまとめてみた」になります。

参考図書が「内閣情報調査室」だけあって、今回は内調を中心として解説させていただきます。
当ブログでは体系的な組織体制であったり概要をお伝えしましたが、現実の案件はきっともっと複雑に絡み合っていることでしょう。

そしてもっと詳しく知りたいと思った方はぜひ本書を購入して読んでみてください!

このブログでは紹介できていない事例が沢山乗っていて、深く理解することができます。

それではSee you next time!!

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